交通事故の被害にあってケガを負った場合には、治療費、休業補償、入通院費用など、様々な損害が発生します。

その損害を被害者が負担する理由はありませんので、加害者に対して、慰謝料請求をし、示談交渉をすることになります。

多くの場合には、加害者が加入している保険会社の担当者と示談交渉をすることが多いでしょう。

そして、治療をしても完全に治らないことがあり、それを「後遺症」が残った、と言います。

後遺症が残った場合には、後遺症による損害も証明しなければなりません

実は、そこで、MRI診断が必要となる場合があります。

そこで、今回は、交通事故の示談交渉でMRI診断が重要な理由について説明したいと思います。

なお、交通事故の示談交渉の一般的な注意点については、以下の記事も参考にしてください。

詳しい解説はこちら⇒
交通事故の示談交渉で被害者が避けておきたい7つのこと

 

自賠責後遺障害等級認定とは?

ケガの治療を継続しても完治しない場合、担当の医師から「症状固定」の診断を受けます。

交通事故で後遺症が残った場合には、その後遺症により、その後もずっと精神的苦痛を受け、また一部労働能力を喪失して収入が減ってしまうことになります。

そこで、後遺症の重さに応じて、その分の損害を賠償してもらう必要があります。

そのために、交通事故で後遺症が残った場合には、後遺症の重さを判定するため、自賠責後遺障害等級認定の申請をすることになります。

後遺障害等級には、症状が重い順に1級から14級まであり、障害が残った体の部位によって各号数が決められています。

詳しい解説はこちら⇒
自賠責後遺障害等級とはどのようなものですか?<弁護士が解説>

後遺障害等級認定は、損害保険料率算出機構(損保料率機構)に申請します。

すると、全国の都道府県庁所在地に設置されている自賠責損害調査事務所が調査を行ない、等級認定されることになります。

 

後遺障害等級認定の申請方法

後遺障害等級認定の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」という2つの方法があります。

詳しい解説はこちら⇒
交通事故で正しい後遺障害等級が認定される人、されない人の違いとは

たとえば、被害者請求は事前認定の場合と違って自分で自賠責保険に請求するので、申請に必要な書類などを自分で用意しなければいけないのですが、加害者側の任意保険会社を通さないので、すべてを自分で把握できます。

そのため、保険会社の書類提出不備などにより間違った後遺障害等級が認定されるといったことが少なくて済みます。

一方、事前認定では加害者側の保険会社が手続きをしてくれます。

また、自賠責保険金だけでは足りない分の損害金額があれば、それらをまとめて支払ってくれるのでラクではあります。

しかし、保険会社任せになってしまうので、書類等の不備のために後遺障害等級自体が認定されない、あるいは正しい等級が認定されない場合に、その理由を把握できないということが起きる場合があります。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、それらを考えながら選択するのがよいと思います。

 

後遺障害等級認定での注意ポイント3つ

次に、後遺障害等級認定で大切なポイントについて説明します。

①医学的見地からしっかり診断してもらう

治療をしていて、治療効果が上がらなくなってくることがあります。

それ以上治療効果が上がらなくなった状態のことを「症状固定」といいます。

症状固定になったら、後遺障害等級認定に進んでいくことになります。

ケガの症状固定を判断するのは医師であり、その根拠は医学的観点です。

ところが、加害者側の保険会社が勝手に「治療期間がもう半年間を過ぎていますから症状固定にしてください、治療費の支払いは打ち切ります」などと言ってくることがあります。

すると、「症状固定にしなければいけないのか…」と思ってしまう方もいらっしゃると思いますが、それは間違いです。

症状固定とは、それ以上治療効果が上がらなくなった状態のことですから、当然医師が判断することになります。しっかり主治医と相談をしながら納得のいく治療を続けるべきです。

②治療費の領収書などは必ず保管しておく

治療費の支払いが打ち切られた場合、その後はご自身で支払うことになりますが、その領収書は必ず保管しておいてください。

後日、後遺障害等級が認定され、示談交渉がスタートしてから自分で支払った分を保険会社に請求していくことになるので、その際に必要となるからです。

③交通事故に詳しい医師に診断書を作成してもらう

自賠責後遺障害等級認定の申請には次のような書類等が必要になってきます。

・支払請求書兼支払指図書
・交通事故証明書
・交通事故発生状況報告書
・診断書
・診療報酬明細書
・通院交通費明細書
・休業損害証明書
・印鑑証明書
・委任状(被害者本人が請求できないとき)
・自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書
・レントゲン、MRI画像等
・その他症状を裏付ける検査結果や意見書等の医学的な資料

被害者の方が正しい後遺障害等級認定を受けるためには、これらの提出書類に不備や間違いがあってはいけません。

ですから、交通事故の治療に詳しい医師に依頼することが大切になってくるのです。

 

間違った後遺障害等級が認定されると被害者は損をする

ここでは、「むち打ち症」の後遺障害等級について考えてみます。

交通事故のよるケガでは、いわゆる「むち打ち症」が多いのですが、骨折のない「むち打ち症」による神経症状で認定される後遺障害等級は、以下の2つです。

12級13号

・局部に頑固な神経症状を残すもの
・自賠責保険金額:224万円
・労働能力喪失率:14%

14級9号

・局部に神経症状を残すもの
・自賠責保険金額:75万円
・労働能力喪失率:5%

むち打ち症で認定される後遺障害等級は上記のいずれかですが、違いは「頑固な」という言葉が入るかどうかです。

それだけで、自賠責保険金額が約150万円も変わってくるのですから、被害者の方はこの点をしっかり知っておく必要があるでしょう。

後遺症慰謝料も、12級13号であれば290万円、14級9号であれば75万円と、かなりの金額の違いがあります。

12級13号の認定基準は、「他覚所見により神経系統の障害が証明されるもの」です。

一方、14級9号の認定基準は「神経系統の障害が医学的に推定されるもの」となっています。

重要なポイントは、次の3つです。

(1)痛み・しびれなどの自覚症状
(2)画像所見(MRI画像による神経根圧迫所見など)
(3)神経学的所見(スパーリングテストなどの検査における異常所見)

この3点でしっかり整合がとれて「医学的に証明される」と判断されれば12級13号が認定されますが、外傷性のものなのか加齢性のものなのか判断できないが、神経系統の障害が「医学的に推定できる」とされると14級9号が認定されます。

後遺症が重度で後遺障害等級が上がる場合には、等級が1級分でも違うだけで数百万円から場合によっては数千万円も慰謝料などの損害賠償金額が変わってくる場合もあるのですから、いかに正しい後遺障害等級認定を受けることが重要かわかっていただけるのではないでしょうか。

詳しい解説はこちら⇒
交通事故の慰謝料の相場と慰謝料を増額させる秘訣
むち打ち後遺障害(12級、14級)の慰謝料額とは?

なお、認定された後遺障害等級に不満がある、納得がいかないという場合には「異議申立」をすることができますが、手続きや必要書類等が難しく不安があるという場合は、一度、弁護士の無料相談を受けてみることをおすすめします。

詳しい解説はこちら⇒
交通事故を弁護士に相談すべき7つの理由と2つの注意点

 

整形外科でMRI診断を受けるべき理由

正しい後遺障害等級の認定を受けるには、上記の(1)~(3)のすべてが大切ですが、医学的な見地からもMRI画像の提出は必須となります。

ですから、MRI画像を用意できて、適切な所見を書類に記載できる医師の診断を受けることが非常に重要になってきます。

接骨院や整骨院ではMRIなどでの診断はできないのですから、やはり交通事故による後遺障害に詳しい整形外科で精密検査を受けることが大切です。

なお、ご自身で慰謝料などの損害賠償金額を知ることができる自動計算機をご用意しています。

それぞれの事故の状況などによって、最終的な金額に違いが出る場合もありますが、後遺障害等級が認定されたら、まずはご自身の慰謝料などの目安を知るためにも、ぜひ活用してみてください。

自動計算機はこちら⇒
交通事故慰謝料自動計算機(後遺障害編)




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